Interact Analysis
27 February 2026
年末総括:2025年世界精密減速機市場――産業用ロボットだけに注目するな:真の成長分野はここにある

サマンサ・モウ(Samantha Mou)
中国を拠点とするリサーチアナリストとして、サマンサはインダストリアル・オートメーション部門をサポートしています。サマンサは経済学の修士号を持ち、ドイツ勤務時代に産業機器と自動車部品の市場調査を行った経験があります。
2025年、世界市場は回復基調
Interact Analysis が最新公開した『精密減速機市場レポート』によると、2024年の世界精密減速機の販売額は10%超の大幅な減少を記録したが、2025年には前年比7.8%増となり、明確な回復傾向を示した。2026年も市場は引き続き回復基調を維持し、世界販売額は前年比8.0%増が見込まれている。
注:統計対象製品には、サイクロ減速機、ハーモニックドライブ、精密遊星減速機、精密ウォームギア・ウォームホイール減速機、およびバックラッシュ30アーク分未満のその他減速機・減速電機(精密減速機+モータの組み合わせ製品)が含まれる。
ロボットは依然として主要な成長ドライバー
精密減速機市場はロボット産業との高い相関関係を維持しており、同産業からの売上比率は、2021年の33.6%から2025年には35%に上昇している。さらに、2030年には46.3%に達すると予測されている。製品別に見ると、サイクロ減速機およびハーモニックドライブでは売上の50%超がロボット分野からのものである一方、精密遊星減速機などのタイプは20%未満にとどまっている。
- 産業用ロボット業界
精密減速機の需要は、2026年に向けて引き続き回復が期待されている。2025年には、世界の産業用ロボットの生産台数が約53万台に回復し、この結果、精密減速機の売上高は8.8億ドルに達し、2024年からは回復するものの、2023年の高水準には及ばない見込みである。回復の主な要因は、アジア市場の強い反発にある。アジア太平洋地域では、減速機の売上が16%増加した一方、欧米市場ではほぼ横ばいの状態が続いた。
2026年には、世界的な需要がさらに回復する予想である。アメリカでは製造業の国内回帰トレンドを背景に需要が高まり、欧州では産業投資の再開が期待される。また、アジア市場は、電子機器および半導体産業の継続的な拡大により恩恵を受けると見込まれている。
- 移動ロボット業界
マクロ経済や関税などの要因の影響を受けつつも、移動ロボットは依然として精密減速機の売上成長が最も速い下流市場の一つである。2025年には、精密減速機の移動ロボット分野での売上高は前年比24.5%増の1.7億ドルに達し、2030年には4億ドルを超える見込みだ。2025年から2030年の間、この業界は市場全体の18%に相当する新規収益を貢献すると予測されている。
- ヒューマノイドロボット業界
2030年には、精密減速機の第二の主要なアプリケーション市場となることが期待されている。2025年には、精密減速機の売上高が前年比で5倍の成長を達成し、2026年にはさらに倍増する見込みだ。今後5年間、アクチュエーターは依然としてハーモニックドライブおよび遊星減速機が主導するが、サイクロ減速機は現在テスト段階および小規模な選定段階にあり、高トルクや耐衝撃性が求められるシーンで成長ポテンシャルを示している。
非ロボット分野における成長機会
軍事・防衛、半導体・電子機器、医療機器などの産業は、精密減速機市場における比較的高い成長を牽引すると予想されている。
軍事分野では、精密減速機は主に位置決めや旋回システムに使用される。各国の防衛予算が増加する背景の下、2024~2030年における同分野での精密減速機売上高は、年平均5.9%の成長が見込まれている。
半導体産業は2024年以降、周期的な回復局面に入り、AI技術の発展や政策的支援により引き続き成長すると予測される。
医療機器産業は、製造業全体の減速局面でも比較的高い耐性を示し、多くの従来型製造業よりも速い成長率を維持すると見込まれる。
さらに、食品・飲料および包装機械分野では、2026年においても出荷量の高い成長が期待されるものの、顧客層の価格感度が高いため、販売額は平均単価の低下圧力を受ける可能性がある。
アジア太平洋地域が成長を牽引、企業は現地生産を推進
2025年、アジア太平洋地域は産業用ロボットの生産台数反発の恩恵を受け、精密減速機市場が顕著な成長を示した。売上高は前年比12.3%増となったのに対し、北米および欧州・中東・アフリカ(EMEA)市場の回復は弱く、それぞれ3.7%、2.6%の増加にとどまった。
欧米市場では、製造業投資の回復が遅く、従来型産業の需要も低迷している。また、米国の関税政策が設備投資および機械需要に制約を与えている。2026年には、米国、中東欧地域、さらに半導体装置、軍事・防衛、移動ロボット分野での成長が比較的速いと見込まれる一方、その他地域や従来型産業における回復は依然として緩やかになると予測される。
中国は世界の精密減速機市場の43%を占めており、2030年には50%に達する見込みである。2025年の産業用ロボット市場の回復に伴い、多くのメーカーがフル稼働で生産しており、2026年にはヒューマノイドおよび協働ロボットの生産増加が、市場のさらなる成長を牽引すると期待されている。
地政学リスクや貿易不確実性の高まりを背景に、製造業企業および関連サプライヤーは現地生産の拡充を加速させている。例えば、Universal Robotsは中国および米国で生産拠点を展開し、NidecやSEWといった精密減速機メーカーも中国での現地生産能力を拡大している。これにより、コスト低減と対応力向上が図られ、中国、米国、東欧などの主要市場における精密部品需要の増加が今後も続くと見込まれる。
お結びに
2025年、世界の精密減速機市場は一時的な落ち込みを経た後、回復軌道に乗った。ロボット産業は依然として主要な成長ドライバーであり、ヒューマノイドロボットなどの新興分野が急速に台頭している。また、軍事・防衛、半導体などの産業も引き続き市場の拡大に寄与している。今後は、自動化トレンドと現地生産拡大の二つの要因により、市場の見通しは引き続きポジティブに推移するものと期待される。
Interact Analysis が発行した「精密減速機」レポートでは、39か国、19業界、12種類の減速機製品、6種類のバックラッシュ範囲にわたる世界市場データと詳細分析を提供している。売上高、出荷量、平均販売価格(ASP)に関する情報も含まれており、精密減速機市場のより深い洞察を希望される場合は、ぜひお問い合わせいただきたい。
最新の産業オートメーションインサイト

ヨーロッパの軍事費が増加、最大の勝者は誰か?

欧州本土リチウム電池企業、生産能力800GWhの波に耐えられるか?
