サードパーティ物流事業者による倉庫建設の加速:オートメーションへの影響とは?

Interact Analysis

24 April 2026

マチュー・クレザック (Matthieu Kulezak)

シニア市場アナリスト

Matthieuは、Interact Analysisの倉庫および工場建設研究部門で上級分析師を務めている。サプライチェーン、産業ソフトウェア、産業オートメーション分野での市場調査の経験を5年間積み、業界の動向に対して深い理解を持つ。それ以前は、大手産業オートメーションサプライヤーの市場情報チームで勤務していた。サプライチェーンの修士号を持ち、現在はドイツに常駐している。

世界のサプライチェーンは新たな高圧局面へ
複雑性は継続的に上昇

 

2025年4月、関税措置の強化および政策不確実性の高まりという二重の影響を受け、グローバル・サプライチェーン圧力指数は大幅に上昇し、世界の貿易フローにも混乱が生じた。貿易ルールの急速な変化や政策の方向性の不透明さにより、サプライチェーン管理者の多くは様子見姿勢へと転じ、企業は投資判断の先送り、輸送ルートの見直し、調達戦略の再評価を余儀なくされている。

2023年および2024年初頭の比較的安定した局面と比べると、これは明確なトレンドの反転である。2025年以降、さらに2026年にかけても、サプライチェーンの圧力は高水準で推移すると見込まれる。その背景には、継続する地政学的緊張に加え、貿易構造の断片化の進行や長期的な関税不確実性の拡大といった要因がある。これらの要素は、コストの上昇、リードタイムの長期化、さらにはグローバル供給ネットワークの運営複雑性の増大をもたらしている。

注:図1:2023年以降、地政学および貿易の複雑性の上昇に伴い、サプライチェーン圧力は再び上昇している。

サプライチェーンの複雑性の高まりは、一般的に大手サードパーティ物流事業者(3PL)の収益規模拡大およびキャパシティ需要の増加に直結する。これは、サプライチェーン上の課題が増大することで、より多くの企業が物流業務を専門事業者へ外部委託する傾向を強めるためである。

グローバル・サプライチェーン圧力指数が2020年の約0.5から2022年には2.0超へと上昇した局面において、DHL Group、Kuehne + Nagel、CEVA Logistics、およびA.P. Moller – Maerskの合計四半期売上高は、約320億ユーロからほぼ580億ユーロへと倍増した。

サプライチェーンの複雑化が進むにつれ、リードタイムの長期化、変動性の拡大、運営リスクの上昇といった課題が顕在化し、企業内部で物流を管理する難易度は一層高まっている。こうした状況を背景に、サプライチェーン運営をサードパーティ物流事業者へ外部委託する企業が増加している。

注:図2:サプライチェーンの変動は、サードパーティ物流事業者の収益に対する構造的成長を下支えしている。

この傾向は、当社の倉庫建設に関する予測にも明確に表れている。すなわち、サードパーティ物流事業者の拡張スピードは市場全体を上回っている。倉庫建設の総合指数は、2022年の107から2024年には103へと低下し、2030年まで概ね横ばいで推移すると見込まれる一方、サードパーティ物流事業者の指数は明確に回復し、2024年の103から2026年には112へと上昇している。

このような乖離は、全体の建設活動が減速する局面においても、サードパーティ物流事業者による倉庫投資が依然として構造的に高水準にあることを示している。

例えば、CEVA Logisticsはシンガポールにおいて新たな倉庫を開発しており、総倉庫面積は約400万平方フィートに拡大する見込みである。一方、Kuehne + Nagelはドイツにおいて延床面積108,000平方フィートの新たなヘルスケア向け配送センターを稼働させており、欧州・中東・アフリカ地域にわたる複雑な多温度帯物流の運用を支援している。両社はいずれも、倉庫拡張の直接的な要因が需要の増加にあると明言している。

 

これは倉庫自動化投資に何を意味するのか?

 

倉庫自動化の導入において、サードパーティ物流事業者(3PL)は最も複雑な課題に直面している。これは、その運営特性上、より高い柔軟性が求められるためである。具体的には、複数顧客による倉庫の共同利用、SKU構成の継続的な変化、さらに契約期間の短期化といった要素が挙げられる。

こうした特性は、可動型オートメーションへの需要増加として顕在化しており、とりわけ迅速なスケール拡張および再配置が可能なソリューションへのニーズが高まっている。近年の事例もこの傾向を裏付けている。DHL Supply ChainはLocus Roboticsとの協業を拡大し、繁忙期における柔軟なリソース配分を目的として、最大2,000台の自律移動ロボット(AMR)のグローバル展開を計画している。一方、DSVは、自社ネットワーク内でAutoStoreシステムの導入を進めており、世界20カ所のフルフィルメントセンターにおいて自動化の展開を加速させる方針である。

この動向は当社の予測にも反映されている。すなわち、サードパーティ物流事業者向けのモバイルロボット関連収益は、市場全体を大きく上回る成長率を示す見込みである。総市場が2023年から2030年にかけて約3倍に拡大すると予測されるのに対し、3PL関連の収益は約6倍に達すると見込まれており、モバイルオートメーション需要の拡大において、3PLが果たす構造的な牽引役としての重要性が一段と高まっている。

 

これはシステムインテグレーターにどのような影響をもたらすのか?

 

双方の価値提案が重なり始める中で、サードパーティ物流事業者(3PL)とシステムインテグレーターの間には、戦略的収斂の可能性が高まりつつある。従来、システムインテグレーターは主に自動化アーキテクチャの設計を担ってきたが、現在ではソフトウェア、設備、保守、さらには一部の常駐運用支援を含む統合型の倉庫ソリューションを提供するケースが増加している。この結果、その役割は「倉庫を支援する存在」から、「倉庫そのものの運営に近接する存在」へと変化しつつある。

一方で、3PL事業者も生産性向上および差別化を目的として、自動化設備への大規模投資を進めている。自動化が倉庫パフォーマンスの中核要素となる中で、「オペレーター」と「テクノロジープロバイダー」の境界は徐々に曖昧になりつつある。その結果、インテグレーターが配送センターを支えるインフラの導入および継続的な運用を担うのであれば、物流サービスそのものへ事業領域を拡張することが自然な次の一手となる可能性がある。この動きは、実行能力と自動化能力を単一組織内で統合する、より垂直統合的な産業構造への移行を示唆している。

実際、この変化はすでに市場において顕在化している。例えば、GXO LogisticsはInvar Groupを買収し、社内の自動化能力を強化するとともに、システムインテグレーション領域への接近を進めている。また、「物流運営+自動化技術」を融合した新規参入企業も登場している。Nimble Roboticsは自社開発のロボットシステムを基盤として、完全自動化型の3PLフルフィルメントサービスを展開している。さらに、GreenBox Systemsは、運用型物流サービスと連動した自動化倉庫ソリューションの開発・運営を進めている。加えて、Winitは、自社の自動化および情報技術システムと倉庫運営を統合し、複雑なグローバル・フルフィルメントネットワークの管理を実現している。

 

結語

 

総合的に見ると、サプライチェーンの複雑性は単に上昇しているだけでなく、企業の物流対応の在り方そのものを根本的に再構築しつつある。従来は補助的機能と見なされていた物流は、次第に戦略的能力へと進化しており、この能力の確立にはスケーラビリティ、柔軟性、そして先進的な技術基盤が不可欠である。しかし、これらを企業内部で効率的に構築することは多くの場合困難である。

こうした変化は、サードパーティ物流事業者の成長を加速させると同時に、新たな倉庫建設の波を促し、サプライチェーンにおける自動化の役割を再定義している。このような環境下においては、市場の最新動向を的確に把握することが極めて重要である。なぜなら、複雑性、貿易政策、需要構造のわずかな変化であっても、物流戦略、投資優先順位、さらには技術導入の方向性に迅速に波及するためである。

倉庫需要を再形成する構造的要因(世界の施設数、倉庫面積、労働コスト構造、自動化導入状況など)について、より深く理解されたい場合は、『グローバル倉庫ストックデータベース』をご参照いただきたい。本レポートはボトムアップアプローチに基づき、世界の倉庫市場を包括的に可視化するとともに、地域別・国別・エンドユーザー別に市場規模、構造、および経済価値を定量的に分析している。

『グローバル倉庫ストックデータベース』レポートサンプルをご希望の方は、メールでのご連絡をお待ちしております:jp-info@interactanalysis.com

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