オフハイウェイ機械の電動化は分化が進行、中国メーカーが競争優位を拡大

Interact Analysis

25 May 2026

クロエ・メイソン(Chloe Mason)

市場アナリスト

Chloeはブリストル大学で犯罪学応用定量方法学の学士号、および社会科学研究方法の修士号を取得しており、定性・定量の研究手法における高い能力を活かして、商用車業界に対して実用的な洞察を提供しています。

世界のオフハイウェイ機械市場における電動化の進展速度は、地域および機種によって大きな差が見られる。中国のホイールローダー市場では電動化が急速に進展している一方、米国の建設機械市場では依然として限定的な普及にとどまっている。

こうした市場環境の中、中国国内における電動機需要の拡大を背景として、中国OEMは世界の電動建設機械市場における存在感を急速に高めている。さらに近年では、欧州をはじめとする海外市場への展開も加速しており、市場構造に大きな変化をもたらしている。

電動建設機械市場のリーダーは機種ごとに異なる

 

電動ショベル市場では、Volvoが世界市場をリードしている。しかしながら、その優位性は依然として限定的な市場規模の上に成り立っている。現在の電動ショベル需要の中心はミニショベルであり、2025年には多くのOEMで電動ショベルの生産台数が横ばい、もしくは減少傾向を示した。Volvoは数少ない成長企業の一つである。また、市場に投入されている製品の多くは既存の内燃機関モデルをベースとした改良型であり、専用設計の電動プラットフォームを採用した機種は限定的である。このことが性能面や量産拡大の制約要因となっている。

一方、電動ホイールローダー市場は既に実証段階を脱し、本格的な普及フェーズへ移行している。市場を主導しているのは中国OEMであり、LiuGongおよびXCMGの2社が世界市場のトップグループを形成している。両社は中国国内の電動ホイールローダー生産台数の約半数を占めており、首位争いは拮抗している。電動ショベル市場とは異なり、電動ホイールローダー市場にはSDLGやSANYなど複数の有力メーカーが参入しており、市場競争は急速に活発化している。その結果、ホイールローダーは電動建設機械市場において、技術実証ではなく量産能力と市場展開力が競争優位性を決定する最初のセグメントとなった。

Interact Analysisの分析によると、2025年のVolvoの電動ホイールローダー生産台数は世界第6位にとどまる。Wacker Neuson、Tobroco Giant、Avantなどの欧州メーカーは主に小型機市場に注力しており、生産規模は依然として限定的である。

 

電動ホイールローダー等のOEMシェア

注:ホイールローダーが電動機の中心を占め、XCMGとLiuGongが拮抗している。

なぜ機種によって電動化の浸透速度が異なるのか?

 

用途別BEV浸透率

注:電動化浸透率は機種によって大きく異なる。ホイールローダーが浸透拡大をリードし、ミニショベルも伸びる一方、テレハンドラーはまだ初期段階にある。

電動化の普及速度は、使用環境、充電インフラ、規制政策、および経済性によって大きく左右される。ホイールローダーは、その典型例である。欧州市場では、小型ホイールローダーを中心に電動化が進展している。特に都市部や環境規制が厳しい地域では、稼働条件が比較的安定しており、夜間充電との親和性も高いことから、電動化導入が進みやすい。

これに対し、中国市場では55kW超の大型ホイールローダーが電動化の主力となっている。鉱山や港湾などの閉鎖環境では充電インフラの整備が進みやすく、さらに複数機種で共通利用可能な電動パワートレインプラットフォームの構築も進展している。この結果、高負荷用途においても優れた経済性を実現している。

また、中国OEMと欧州OEMの製品開発アプローチにも明確な違いが見られる。欧州メーカーの多くは既存のディーゼル機をベースに電動化を進めているのに対し、中国メーカーは専用設計の電動アーキテクチャを採用するケースが増えている。そのため、システム効率、信頼性、製品統合度の面で優位性を確立しつつある。

 

中国OEMは国内市場からグローバル市場へ移行

 

現時点において、中国OEMの電動ショベル市場への参入は限定的である。しかしながら、研究開発能力、生産規模、そしてグローバル展開のスピードを考慮すると、この状況が長期間継続する可能性は低い。競争力の高い専用設計の電動ショベルが市場投入された場合、現在優位に立つ欧米OEMに対して大きな競争圧力となる可能性がある。

中国メーカーは、国内市場で確立した量産体制を基盤に、海外市場への展開を加速している。2025年に開催された主要国際展示会では、中国OEMは幅広い電動製品ラインアップを披露するとともに、高い製品完成度を示した。LiuGongは欧州、オーストラリア、ニュージーランドおよび南米市場へ数百台規模の電動建設機械を納入している。また、XCMGは鉱業分野において大型案件を獲得し、Fortescue向けに多数の電動鉱山ダンプトラックを供給している。

欧米OEMの多くは依然として高出力機種の電動化展開が限定的であり、この状況は中国メーカーに新たな市場機会を提供している。中国OEMは価格競争力だけでなく、量産可能な電動ソリューションを提供できる数少ないサプライヤーとしても存在感を高めている。

結論

 

オフハイウェイ機械市場の電動化を評価する上で、単純な普及率だけでは市場の実態を十分に把握することはできない。重要なのは、どのOEMが、どの市場において、どのような競争優位性を構築しているかを理解することである。

現在、中国OEMは国内市場で確立した量産体制を背景に、グローバル市場への展開を急速に進めている。今後の焦点は、電動化が進むか否かではなく、どの企業が構造的な優位性を活用し、その成長機会を獲得できるかに移りつつある。電動化の加速に伴う競争構造の変化を正確に予測するためには、市場浸透率だけでなく、OEMごとの技術戦略、生産能力、グローバル展開力を総合的に分析することが不可欠である。

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