Industrial Automation
20 May 2025
リチウム電池市場:生産能力計画と出荷予測の更新

シャーリー・チュー(Shirly Zhu)
シャーリーは10年以上のキャリアの中で、複数の業種にまたがり、一次調査、二次調査、定量・定性分析を必要とするプロジェクトを実施してきました。主に産業用オートメーションに注力し、モーション、産業用制御などのトピックを担当します。
Interact Analysisは、リチウム電池および関連製造設備市場を長期的に追跡しており、生産能力、生産・出荷動向、製造装置などの観点から市場のトレンドと変化を深く分析しています。 最新の四半期更新(2025年第1四半期)では、関連市場に対する予測を全面的にアップデートしました。
リチウム電池出荷量:予測を上方修正、オフハイウェイ機械向け需要が急拡大へ
2024年の世界リチウム電池出荷量は約1,353GWhとなり、前年比23%増となりました。2029年には年平均成長率21.2%を維持し、3,538GWhに達すると予測されています。これは、2025年1月時点の前回予測値から0.6ポイントの上方修正となります。
この修正は、世界の車載用(動力)電池およびエネルギー貯蔵用電池の需要見通しが小幅に引き上げられたことによるものです(今回の市場予測は2025年第1四半期の下流市場動向に基づいており、米国の関税政策は考慮に含まれていません。その影響は第2・第3四半期の市場動向の中で徐々に反映される見通しです)。
動力電池の出荷量は、2029年に2,487GWhに達し、2024~2029年の期間において年平均21.3%の成長が見込まれます。世界最大の新エネルギー車市場である中国では、新エネルギー車(NEV)の普及率が前回の予測を上回る見通しです。さらに、世界的なオフハイウェイ機械の電動化の潮流が、リチウムイオン電池市場に新たな需要拡大の波をもたらすと予測されます。
Interact Analysisの「オフハイウェイ機械」レポートによると、マテリアルハンドリング機械(特にフォークリフトおよび高所作業車) は、オフハイウェイ分野の中で最も電動化が進んでいるカテゴリーです。統計によれば、2024年におけるフォークリフトおよび高所作業車の販売台数のうち、約35%がリチウムイオン電池搭載機 となっています。鉛蓄電池からリチウムイオン電池への移行が進む中、2035年にはリチウム電池搭載のマテリアルハンドリング機械が総販売台数の約75%を占めると予測されます。
一方で、建設機械・鉱山機械・農業機械などその他のオフハイウェイ車両 における電動化は依然として初期段階にあります。2035年時点での電動化率は10%未満にとどまる見込みですが、市場全体の規模が非常に大きいため、電動機械の販売台数は40万台を超えると予想されます。このような動向を背景に、2024~2029年の間に世界のオフハイウェイ機械向け電池出荷量は年平均27.7%のペースで増加し、2029年には68GWhに達する見通しです。

エネルギー貯蔵用電池(ストレージバッテリー)の出荷量は、2024~2029年の期間に年平均23.4%の成長が見込まれ、前回予測値から0.4ポイント上方修正されました。2029年には出荷量が982GWhに達すると予測されています。この上方修正の主な要因は、中東やラテンアメリカなどの新興市場における大規模なエネルギー貯蔵システム(ESS)導入の見通しが、従来の市場予測を上回ったことによります。
リチウムイオン電池の生産能力と製造設備:短期的に減速、中長期は前回予測を上回る
Interact Analysisのグローバルリチウムイオン電池生産能力トラッキングによると、2025年第1四半期において新たに発表された建設プロジェクトは前四半期比で減少したものの、建設中および稼働開始プロジェクトの規模は拡大しました。
地域別では、アジア太平洋地域(APAC)においてリチウムイオン電池の新規生産プロジェクトが引き続き増加しており、中国の電池メーカーは東南アジア諸国での生産拠点拡大を加速しています。一方で、アメリカ大陸(特に米国)では複数のリチウムイオン電池建設プロジェクトが一時停止しています。
マクロ経済の不確実性の影響を受け、2025年には世界3大地域でのリチウムイオン電池生産能力の拡張ペースが一時的に鈍化する見込みです。
しかし中長期的には、ヨーロッパ地域でのローカル生産投資の進展およびインドや東南アジアなど新興市場での急速な拡大により、2029年には世界のリチウムイオン電池生産能力が6,736GWhに達し、2024~2029年の年平均成長率は17.8%となると予測されています。これは前回予測より0.2ポイント上方修正されました。
また、世界のリチウムイオン電池製造装置市場は、2024~2029年の期間に年平均7.3%の成長が見込まれ、こちらも前回予測比で0.2ポイントの上方修正となりました。地域別では、アジア太平洋および欧州・中東・アフリカ(EMEA)市場の成長率がそれぞれ0.3ポイント、1.4ポイント上方修正された一方、北米市場は1.2ポイント下方修正されています。これにより、2029年には世界のリチウムイオン電池製造装置市場規模は298億米ドルに達する見通しです。

最新の産業オートメーションインサイト

ヨーロッパの軍事費が増加、最大の勝者は誰か?

欧州本土リチウム電池企業、生産能力800GWhの波に耐えられるか?
