グローバル協働ロボット市場の最新予測:サイクル底打ち後の市場再構築

Industrial Automation

19 June 2025

Maya Xiao

マヤ・シャオ(Maya Xiao)

リサーチ部長

マヤは、自動車の電動化、システム自動化、ロボティクスの分野で学際的な技術的背景を有します。中国を拠点に、インタラクト・アナリシスのリチウムイオンバッテリーとフォークリフト調査のリードアナリストを務め、産業用ロボットと協働ロボットの市場もカバーしています。

Interact Analysisが最新発表した「協働ロボット市場レポート(2025)」によると、グローバル協働ロボット(Cobot)産業は、2024年に周期的な底を経験した後、まもなく新たな成長サイクルに入る見込みです。ただし、市場の分化および構造的変革は引き続き深化していくとされています。

主要データ(予測)

  • 2025年:成長率 20.6%
  • 2026年:予測期間内で成長率がピークに到達
  • 2029年:出荷台数 12.5万台、売上高 25億米ドル

グローバル協働ロボット市場は、現在「普遍的・一律的な成長」から「構造的・選択的な成長」へと転換しつつある。

  • 地域差:中国の電子産業チェーン、欧米の自動車産業チェーンに深く浸透。
  • シナリオ・イノベーション:溶接、検査などの高成長分野に加え、農業やサービスなどブルーオーシャンでの応用を拡大。
  • 技術付加価値:AIおよびマシンビジョンにより大型機種の付加価値を向上させ、価格競争圧力を緩和。

以下に詳細分析を示す。

 

一、市場サイクル:2024年に「二重底」を形成し、2026年に成長のピークを迎える

 

2024年は、協働ロボット市場にとって「二重底」の年と言えるでしょう。全体的な出荷台数の成長率は13.8%に低下し(2023年の14.3%を下回る)、製造業における内需は減速しました。しかし、自動車分野は強い回復力を示し、半導体・エレクトロニクス産業も徐々に回復しています。

これら一連の複雑な要因が相互に作用し、2024年が市場サイクルにおける真のボトムイヤーであることを裏付けている。その前段階では、サプライチェーンの混乱やインフレの高止まりが業界の回復プロセスを遅らせる要因となった。

2025~2026年にかけて、市場は「加速」段階へと突入する。2025年には出荷台数の伸び率が20.6%に達すると見込まれ、半導体や物流分野の需要が主要な推進力となる。さらに2025年下半期には、電子産業の回復が“追い風”となる見通しだ。2026年にはピークを迎え、これまで蓄積してきた産業アップグレード需要が一気に爆発するとともに、大型物流、農業、医療・ヘルスケアなどの新たな応用分野との融合が進むことで、市場の活力が最大限に引き出されるだろう。

長期的に見ると、2025~2029年の複合年間成長率(CAGR)は20%に達すると予測されるが、地域ごとの分化が顕著である。中国市場は数量拡大で優位に立ち、2029年には出荷台数が7万台を突破する見込みである。一方、欧米などの先進市場では、収益成長を重視し、特定のアプリケーション分野における深耕と実用化に焦点を当てます。

 

二、地域的分化:中国が世界の供給を主導するも、成長ロジックは大きく異なる

 

中国はすでに出荷台数で「ジャイアント」となっており、2029年までに世界全体の増加分の70%以上を占めると見込まれている。電子産業が国内出荷量の34%を占め、教育や新エネルギー分野でも旺盛な需要が続く。
しかし、市場は「価格のパラドックス」に直面している。大荷重(10kg超)モデルの市場シェアは2024年の25%から2029年には30%を超えると予想される一方で、低価格帯(5kg未満)モデルが大量に流入し、全体の価格支配力を希薄化させている。その結果、平均販売価格(ASP)は2024~2029年の間に10%以上下落すると見込まれる。

一方、EMEA(欧州・中東・アフリカ)およびアメリカの市場は、中国に比べて成長ペースが緩やかである。欧州では経済の停滞が自動化投資を抑制し、アメリカ市場では関税問題が依然として成長の足かせとなっている。中国以外の市場では、自動車分野が依然として中核的存在であり、売上構成比の31.8%を占める。これは電子産業が主導する中国市場の構図とは対照的である。

さらに、中国市場における価格競争の激化(2024年の世界全体の売上成長率が10%未満にとどまった一因)と、欧米市場における高コストな技術路線が、世界市場の断片化(フラグメンテーション)を一層進行させている。

 

三、製品動向:重型化と値下げが共存する価格パラドックス

 

大荷重モデルの比率が顕著に上昇

10kg超モデルの比率は2024年の25%から2029年には30%を超える見込みであり、特に20kg超モデルの伸びが最も速い。 

小荷重製品の平均単価は引き続き下落

重型モデルの比率が増加する一方で、世界全体の平均単価は今後5年間で10%超下落する見込み(中国市場の値下げが主導)。
2025
年以降、価格の年間下落幅は3~5%に縮します(以前は5%超)。これは、大荷重モデルのプレミアム価格およびAI・マシンビジョンによる付加価値が一部下落幅を相殺するためである。

価格パラドックス

中国市場では、低価格モデル(5kg未満)の「規模の経済効果」が重型モデルの値上げ効果を抑制し、結果として「アップグレードしても価格は下がる」という現象が見られる

 

四、応用シーン:新興需要の台頭、技術融合が鍵に

 

現在、最も割合の高い二つの応用分野である「物流搬送(29.7%)」「組立(20%)」は、2024年の世界売上高のほぼ50%を占めているが、成長は鈍化している(2024年の各分野の成長率:物流搬送 7.7%、組立 1.9%)。

高成長分野

  • 溶接応用:2023–2024年の成長率は27.8%/22.6%(自動車・機械業界の回復+重荷重Cobotのプレミアム効果)。
  • テスト/検査:成長率 > 20%、マシンビジョンとの融合により高精度作業革命を促進。

ロングテール市場の萌芽
農業(2024年成長率 33%)、飲食サービス(同 17.6%)など、非従来型分野での需要が徐々に出現。

技術の転換点
高精度・高再現性が求められるシーン(例:組立、位置決め)では、Cobotが従来ロボットを置き換える速度が加速。一方、負荷や速度の要求が低いシーンでは、より普及しやすい。

 

五、長期成長:基礎的な駆動ロジックは変わらずも、課題が浮上

 

核心の駆動要因は依然として安定
労働力不足、柔軟な製造への転換、EC物流の拡大、サービス業への自動化浸透という四大要因が引き続き強化されている。

大口注文のプレッシャー
100
台以上の大量注文は、メーカーの生産能力およびサプライチェーン管理能力を試すことになる。  

価格競争は持続不可能
中国の低価格戦略により、世界の協働ロボット1台あたり平均収益(ARPU)は引き下げられ、2024年の協働ロボットARPUは前年予測値を5%下回った。市場が持続的な成長モメンタムを得るには、長期的には価値競争への転換が必要である。

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