Interact Analysis
10 September 2026
世界産業用ロボット市場は回復へ:次の成長はどこから生まれるのか?

サマンサ・モウ(Samantha Mou)
中国を拠点とするリサーチアナリストとして、サマンサはインダストリアル・オートメーション部門をサポートしています。サマンサは経済学の修士号を持ち、ドイツ勤務時代に産業機器と自動車部品の市場調査を行った経験があります。
Interact Analysisは、2026年の世界産業用ロボット市場について、売上高が6.0%、出荷台数が9.1%増加すると予測する。回復を主に支えるのは非自動車産業、協働ロボット、ヒューマノイドロボット関連需要であるが、地域・産業・製品間の差は依然大きい。
2026年9月、Interact AnalysisのシニアアナリストであるSamantha Mouは、オンラインセミナー「Robotics Rebound 2026」で、世界の産業用ロボットおよび協働ロボット市場の最新予測を紹介し、ヒューマノイドロボット、モバイル協働ロボット、AIが現在のロボット産業にもたらす新たな需要について論じた。
Interact Analysisは、2026年の世界産業用ロボット市場の売上高が前年比6.0%、出荷台数が同9.1%増加すると予測する。2026年5月に公表した前回予測と比べ、売上高成長率は4.2%から6.0%へ、出荷台数成長率は6.0%から9.1%へ引き上げた。これは、2023~2024年の市場調整を経て、世界産業用ロボット市場の回復傾向が年初時点より明確になったことを意味する。
しかし、今回の市場回復によってすべての細分市場が同時に持ち直したわけではない。世界の主要地域では、自動車産業のロボット需要の回復ペースは依然緩慢であり、市場成長の中心は半導体、家電、EV用電池、ライフサイエンス、食品・飲料などへ移っている。同時に、協働ロボットの出荷台数は高成長を維持する一方、激しい価格競争が売上高成長を抑えている。また、ヒューマノイドロボット製造業者は、協働ロボットアームメーカーにとって新たな中核顧客層となった。
したがって、2026年の世界産業用ロボット市場における核心的な変化は、産業全体が再び成長軌道に戻ったことだけではなく、需要源、製品形態、競争領域が同時に変化している点にある。
一、世界産業用ロボット市場は回復
産業別需要の二極化が鮮明に
主要な産業用ロボットメーカーの回答と受注状況によると、2026年に入って世界産業用ロボット市場の需要は明確に回復したが、従来の自動車産業が全面的に持ち直したことによる一律の反発ではない。多くの地域で自動車産業の投資は依然弱く、特に欧州の自動車市場は自動化浸透率が高いため、市場飽和と投資減速が続いている。現在の増分需要は主に非自動車産業から生まれ、アジア太平洋の半導体、電子機器、リチウムイオン電池、および欧米のライフサイエンス、食品・飲料などに集中している。
2025年には、自動車産業と電子機器産業が合わせて世界の産業用ロボット総出荷台数の約58%を占め、引き続き市場の基盤を支えた。同時に、新規需要の源泉は多様化している。労働力不足、製造業の国内回帰、政策支援、新用途の実用化、AI能力の進化が、今後数年間の構造的成長を支えている。

二、出荷台数はアジア太平洋が世界を主導
売上高成長率では米州市場が優位
地域別では、アジア太平洋が世界の産業用ロボット出荷回復をけん引する中核である。Interact Analysisは、2026年のアジア太平洋の産業用ロボット出荷台数が前年比10.5%増加し、このうち協働ロボットは27.7%増加すると予測する。米州と欧州・中東・アフリカ(EMEA)は、それぞれ6.1%、2.8%増加する見込みである。2025~2030年の産業用ロボット出荷台数の年平均成長率は、アジア太平洋が8.3%で、米州の6.6%、EMEAの5.0%を上回る。
アジア太平洋とEMEAではロボット製品の平均価格が下がり続けるため、両地域の売上高成長率は圧迫され、2025~2030年の年平均成長率はそれぞれ5.2%、3.4%にとどまる見込みである。これに対し、米州市場では製品価格の耐性が強く、同期間の売上高の年平均成長率は6.0%と予測され、世界の他地域より良好である。
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三、協働ロボット市場の高成長は継続
協働ロボットは、今回の産業用ロボット市場回復で最も強い成長を示す製品カテゴリーである。2025年、協働ロボットは世界の産業用ロボット総出荷台数の11%を占めた。Interact Analysisは、2026年の協働ロボット出荷台数が前年比22.7%増加し、従来型産業用ロボットを大幅に上回ると予測する。
ただし、業界の価格競争により、2026年の協働ロボット売上高は12.6%の増加にとどまり、出荷台数成長率を10.1ポイント下回る見込みである。台数の増加が売上高の増加を上回る特徴が鮮明である。
協働ロボット市場の需要拡大は主に四つの側面から生じている。第一に、協働ロボットへのAI適用が広がり、自律力制御や複数アーム協調などの技術が性能を高め、適用場面を広げている。第二に、軽量で操作しやすい協働ロボットワークステーションが急速に普及し、溶接やパレタイジングで浸透率が高まり、中小企業での導入が拡大している。第三に、外食や医療など非製造業の需要が導入案件を後押ししている。第四に、ロボットアームとモバイルベースを組み合わせるモバイル協働ロボット市場が発展し、高い柔軟性を要する作業に対して、固定式ロボットとヒューマノイドロボットの中間に位置する実行可能な解決策を提供している。
さらに、協働ロボットの可搬重量向上と価格低下に伴い、従来型産業用ロボットを代替する効果が強まっている。総じて、協働ロボットの高成長は、新たな自動化場面と新規顧客の需要に加え、従来型産業用ロボットの用途への浸透・代替から生じている。

四、ヒューマノイドロボット産業が台頭
協働ロボットアームの新たな増分市場を創出
一部のヒューマノイドロボット製造業者は、研究開発資源をソフトウェアアルゴリズム、AI、システムインテグレーションに集中させている。成熟したメーカーからロボットアームのハードウェアを調達することは費用対効果が高く実現可能であるため、ヒューマノイドロボットメーカーは協働ロボットメーカーにとって急成長する新たな顧客層となっている。
主要メーカーへの調査データと公開受注に基づく推計を合わせると、Interact Analysisは、ヒューマノイドロボット製造業者向け協働ロボットアームの出荷台数が2025年の5,600台超から2026年には43,000台*超へ増え、前年比約667%増加すると予測する。この出荷台数は2026年の協働ロボット総出荷台数の約37%を占める。
2030年には、ヒューマノイドロボット市場向け協働ロボットアームの出荷台数が12万台*を超え、その他すべての産業用途における協働ロボットの総出荷台数に近づくと予測される。
*注:集計単位はロボットアーム1本であり、完成したヒューマノイドロボット1台ではない。

現在、このサプライチェーンの顧客とサプライヤーは中国市場に大きく集中している。主要メーカーにはTianji Robot(天机机器人)とRokae(珞石机器人)が含まれ、FAIRINO(法奥机器人)とHuayan Robotics(华沿机器人)もこの市場で急速に事業を拡大している。
ヒューマノイドロボット向け協働ロボットアームは、追加の第7軸、クロスカップリング式手首、トルクセンサーなど、汎用協働ロボットとは異なる構造設計を備え、より明確な技術的特徴を持つ製品群を形成しつつある。したがって、ヒューマノイドロボット産業の需要は、汎用協働ロボットの用途拡張ではなく、専用の協働ロボットアーム製品カテゴリーとして分類する方が適切である。

ヒューマノイドロボットの大規模導入はまだ初期段階にあるが、協働ロボットアームメーカーにはすでに相当量の追加受注と売上高をもたらしている。現在、ヒューマノイドロボット用アームの調達需要は中国のサプライチェーンに集中しているが、地政学とサプライチェーン現地化の流れを受け、将来は海外のヒューマノイドロボット企業も自国および国際メーカーのアーム調達を検討し、世界のサプライチェーン多様化を促す可能性がある。
五、ロボットカテゴリーは多様化
産業用ロボットが市場基盤を固める
ロボット市場全体では、ヒューマノイドロボットが今後数年間で最も高い成長率を示す製品形態である。データによると、2025~2030年のヒューマノイドロボット出荷台数の年平均成長率は45.5%で、2030年には13.2万台を超える見込みである。同期間の協働ロボットとモバイルロボットの年平均成長率は、それぞれ19.7%、18.6%であり、市場の成長力は高い。
しかし、高成長であっても、新興カテゴリーが短期的に従来型産業用ロボットの市場での中心的地位を揺るがすことを意味しない。2025~2030年、従来型産業用ロボットの出荷台数は年平均5.9%で成長し、2030年まで最大の市場規模を維持すると予測される。固定式産業用ロボット、協働ロボット、モバイルロボット、ヒューマノイドロボットは、作業の複雑さ、柔軟性要件、投資対効果に応じて多層的な市場を形成する可能性が高い。

産業用ロボットについて世界市場で引き続き注視すべき主なテーマは、モバイル協働ロボットの用途拡大、米国における製造業の国内回帰、ロボットメーカーとAI技術企業の協業である。これらが長期成長につながるかを決めるのは、協業件数や技術デモではなく、実際の用途が安定稼働できるか、AI機能がロボットメーカーに持続可能なソフトウェアまたはソリューション収益をもたらせるかである。
結び:回復の先に
より注目すべきは需要構造の変化
2026年の産業用ロボット市場の改善は年初予測より明確になったが、産業別需要構造の分化も一段と鮮明であり、すべての地域、産業、製品が一律に高成長へ入ったわけではない。非自動車産業がより多くの増分を生み、アジア太平洋が引き続き出荷台数を押し上げ、米州はより強い価格耐性を示す。協働ロボットとヒューマノイドロボット専用の協働ロボットアームは、より急成長する新市場を構成する。
世界市場で引き続き注視すべき主なテーマは、モバイル協働ロボットの用途拡大、米国における製造業の国内回帰、ロボットメーカーとAI技術企業の協業である。これらの分野が長期的に安定成長できるかは、発表された戦略提携の規模や技術デモの成果だけでなく、導入先での安定稼働能力と、AI技術がロボットメーカーに持続可能なソフトウェアおよびソリューションの付加価値収益をもたらせるかにかかっている。
参考資料
• Interact Analysis, Industrial Robots、2026年;
• Interact Analysis, Collaborative Robots (Premium)、2026年8月更新;
• Interact Analysis, Robotics Rebound 2026: Industrial & Collaborative Robot Market Trends You Can’t Ignore、2026年9月。
説明:本文の2026~2030年の市場データは、メーカー調査と公開情報に基づく予測である。予測値は受注、価格、マクロ環境、サプライチェーンの変化などにより調整される可能性がある。
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