2025年中国製造業生産額(MIO):回復基調と下半期の機械業界リスク

Interact Analysis

12 August 2025

Samantha Mou

サマンサ・モウ(Samantha Mou)

リサーチアナリスト

中国を拠点とするリサーチアナリストとして、サマンサはインダストリアル・オートメーション部門をサポートしています。サマンサは経済学の修士号を持ち、ドイツ勤務時代に産業機器と自動車部品の市場調査を行った経験があります。

2025年において、世界の製造業は本来、比較的力強い回復局面に入ることが期待されていた。中国および米国の製造業は年初から前向きな成長基調を示し、欧州においても停滞局面から脱しつつある兆しが見られていた。しかしながら、米国による新たな関税措置を巡る不確実性が市場予想を攪乱し、世界的な投資マインドに悪影響を及ぼした結果、各国企業は投資計画の見直しを迫られる状況となっている。

2025年上半期の中国製造業は、米国の関税措置による影響を受けながらも、全体としては依然として高い耐性を示し、回復基調を維持している。

一方で、業界全体の設備稼働率の低下や「反内巻(過当競争抑制)」政策の進展を背景に、Interact Analysis は最新四半期の「世界製造業生産能力トラッキング」指標において、中国の機械設備業界における2025~2026年の成長率予測を下方修正した。これは、潜在的な投資減速および供給側調整が新規設備需要に与える下押し圧力を反映したものである。

最終生産産業の生産額成長率はQ2予測を維持、機械業界の成長率は下方修正

 

最終生産分野は堅調に回復、設備業界は構造的圧力に直面

 

製造業の生産額を集計するにあたり、当社では製造業全体を「最終生産」(自動車、電子機器など)と「機械・設備」(工作機械、マテリアルハンドリング機器など)の二つの主要分野に区分して分析している。このうち、中国における最終生産分野の生産額構成比は約95%に達しており(2024年の世界平均は94%)、一方、機械・設備分野は約5%にとどまっている(2024年の世界平均は6%)。

2025年については、中国の年間製造業生産額(MIO)が前年比2.8%増となり、2024年の成長率2.1%から明確な回復を示すと予測している。内訳としては、最終生産分野が2.9%成長する一方、機械・設備分野の成長率は1.6%にとどまる見込みである。

年間の成長率予測は、前四半期に示した2.9%をわずかに下回っているが、これは主として機械・設備分野に対する成長見通しを下方修正したことによるものである。製造業全体において設備稼働率が引き続き低水準で推移していることに加え、複数分野で「過剰生産能力の削減」政策が進展していること、さらに米国の関税政策が一部企業の生産拠点選定に影響を及ぼす可能性があることから、製造業企業による生産能力拡張のペースは鈍化すると見込まれる。その結果、新規設備需要に下押し圧力がかかると判断し、中国の機械・設備分野における2025年の生産額成長率予測を、従来の2.35%から1.58%へと引き下げた。

中国工業企業の設備稼働率は低水準が継続

機械・設備業界の需要と密接に関連する投資指標も低迷している。6月の国内固定資産投資は前年同月比2.8%増にとどまり、2021年以降で最低の伸び率となった。不動産投資の落ち込み(上半期は前年比11.2%減)の影響を除いた場合でも、製造業投資の伸びは第1四半期の9.1%から7.5%へと鈍化しており、電気機械・器具製造業への投資は前年比7.8%減とマイナス成長に転じている。

これに対し、最終生産分野における需要回復はより顕著となっている。国内消費は段階的に持ち直しており、とりわけ政府の補助金政策に支えられた電子系消費財の回復が目立つ。上半期における家電・音響機器類の小売売上高は前年同期比30.7%増、通信機器関連製品は24.1%増と高い伸びを示した。自動車消費も、年初のマイナス4.4%から0.8%のプラス成長へと改善している。

また、2025年上半期にはインフラ投資が内需を下支えした。2024年末に発行された特別地方債の資金が、特に第1四半期のインフラ投資拡大を後押しした一方、第2四半期に入るとインフラ投資の伸びは安定化している。足元では特別地方債の発行規模が概ね横ばいで推移していることから、下半期においてもインフラ投資は引き続き景気の下支え要因として機能すると見込まれる。

 

今後の展望:2026年は回復加速が期待される

 

全体として、中国の製造業は回復の軌道にあるものの、供給サイドの課題や関税による外部圧力も無視できない。国内需要が完全には回復しておらず、企業利益が圧迫されていることや、過剰生産能力の問題が解消されていない状況では、機械・設備業界が全面的な回復軌道に乗るにはなお一定の時間を要すると考えられる。供給側調整政策の方向性や国内需要の持続的な改善が、今後数四半期にわたり生産能力の過剰や過当競争圧力の緩和を後押しすると見込まれる。

2026年には、中国製造業生産額(MIO)が前年比3.6%増となり、より健全な成長軌道に戻ると予測される。また、機械・設備業界は短期的には依然課題に直面するものの、中長期的には自動化の進展、継続的な技術革新、さらに世界市場からの中国製造設備に対する需要が、2027年以降には最終生産分野を上回る成長を支えると期待される。

 

MIOについて

 

MIO(Manufacturing Industry Output)は、Interact Analysisが開発した、世界の製造業生産高を追跡する指標である。主要国および地域の統計局など公的機関の公開データに基づき、MIOは世界45か国の製造業および102の細分産業の過去15年間の推移を詳細に追跡している。さらに、投資などの先行指標の動向や経済サイクルの監視を組み合わせることで、各産業の今後5年間の成長見通しを予測している。

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