Interact Analysis
16 January 2026
2025年北米リチウム電池生産能力建設:楽観視できず

イボンヌ・チャン (Yvonne Zhang)
イボンヌは、リサーチチームの組織化、調査結果の解釈、生産品の質向上を支援するために、リサーチアソシエイトとしてInteract Analysisに入社しました。彼女は財務分野で修士号を取得しており、アメリカでの学業の後、産業オートメーションセクターでの研究経験があります。
Interact Analysisは、リチウム電池およびその製造装置市場を継続的に追跡している。北米における70件の電池工場プロジェクトについて、2025年時点での進捗を体系的に整理した結果、3つのキーワードに集約される――「中止」「棚上げ」「切り替え」である。
中止 ― 建設中止
計画生産能力10GWh以上の大型リチウムイオン電池工場7件が、建設中止を発表した。このうち1件は米国企業であるMagnis Energyが手掛けていたプロジェクトであり、同社はすでに破産を申請している。
棚上げ ― 稼働延期
当初2025年の稼働を予定していた電池工場14件のうち、計画通りに稼働したのは9件にとどまった。残る案件のうち、Hondaのオハイオ州工場およびOne Circleは稼働時期を後ろ倒ししている。また、Hondaのカナダ工場プロジェクトは稼働開始を2年延期し、2030年とすることを発表した。ElevenESに至っては、2031年としていた稼働計画を2033年へと大幅に延期している。

切り替え ― 定置型蓄電向けへの転換
政策環境および電気自動車需要の双方からの圧力を背景に、車載用電池の生産能力拡大は減速している。一方で、定置型蓄電分野は相対的に高い耐性を維持している。年内には少なくとも3件の工場において、車載用電池の一部生産ラインが定置型蓄電向けへと切り替えられた。該当案件には、Fordのミシガン州工場、AESCのテネシー州工場、NexStar Energyのカナダ工場が含まれる。さらに、韓国大手3社は、北米戦略の重心を早期に定置型蓄電分野へと移行している。T1 Energyはリチウム電池事業から撤退し、太陽光発電事業へと注力する方針を示した。

まとめ
北米におけるリチウム電池生産能力の建設は、全体として「調整局面(クールダウン期)」に入ったと判断される。現在の業界調整は、主に以下の2点に集約される。
1.政策および電気自動車需要の減速
政策環境と電気自動車需要の同時的な減速を背景に、企業は稼働開始時期や投資計画の見直しを進めている。これにより業界全体の投資ハードルは一段と高まり、資金力と技術力の双方を備えたトップ企業のみが、引き続き関連プロジェクトを推進している状況である。
2.地政学的環境の変化による国際協業への影響
地政学的環境の変化は、クロスボーダー型プロジェクトに対する不確実性を高めている。Envision AESC(遠景動力)やGotion High-Tech(国軒高科)など中国系企業による米国電池プロジェクトでは、度重なる延期を経て、最終的に中止に至るケースが散見される。
短期的には、棚上げおよび中止案件の増加が引き続き想定され、北米におけるリチウム電池生産能力の立ち上がりペースは、当面の間、さらに鈍化する可能性が高い。
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